お知らせ


航空機事故多発に対する対応について

(2016.04.14 掲載)



 ご承知のように小型航空機事故が多発しております。3月24日、航空局から当協会に“滑空機の運航の安全確保について”と題する通達(別紙)をいただきました。
 滑空愛好家として、まず自分の趣味のために、万一でも第三者にご迷惑をおかけすることがあってならないと考えます。次に愛好者自身あるいは同乗者が命を失う、あるいは深刻な後遺症を負うことは、できるだけ防がなければならないと考えます。特にインストラクター同乗で死亡事故が発生したことは重大問題です。この現実を直視し、さらに安全な運航を目指して実績を積み重ねることが、社会から信頼をいただくために重要なことと考えます。
 当協会は全国約50の滑空団体に以下の提案を行いました。各団体はそれぞれ状況が異なりますので、自発的に対策を立てていただき、その報告を4月23日までに当協会にいただき、航空局に提出することとして、すでにご報告が寄せられております。



日本滑空協会から全国滑空団体への提案

滑協第27-21号
平成28年3月25日
滑空クラブ代表者 殿
   連絡担当者 殿

拝啓
 早春の候、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。いつも当協会の活動にご協力いただき、ありがとうございます。
 さて、3月17日千葉の事故で民家の上にグライダーが墜落し、搭乗者2名が亡くなりました。
まずご迷惑をおかけした千葉県栄町の皆様にお詫び申し上げます。
亡くなられた前席渡辺協一様、後席藤岡修二様のご冥福を祈りします。
 今回の事故は滑空界として見過ごせないものです。事故原因は後日明らかになるでしょうが、自然のルールを破った結果で、修正しなければ再発します。滑空スポーツに無関係な人々に不安と恐怖を与え、栄町町長から上空を飛行しないよう申し入れをいただいたと報道されております。
 3月24日には国土交通省航空局運航安全課長、航空機安全課長より当協会会長あてに別紙“滑空機の運航の安全確保について”をいただきました。
 ぜひ滑空界が自律的に、第3者に不安を与えず、自らの安全を確保するために、運航を見直し、それを確実に実行して、第3者に認められるようになりましょう。

 公益社団法人日本滑空協会(JSA)は全国の滑空クラブで飛行する皆様に以下を提案します。また、4月23日を期限として求められている国土交通省航空局運航安全課長、航空機安全課長からのご下問に対する各滑空団体からの報告提出を求めます。提出先:kohga@japan-soaring.or.jp

1.もう一度自分の乗る機体の性能・特性を再確認しましょう。
機体の飛行規程を読み、失速速度、運動制限速度、超過禁止速度、着陸進入速度、ストールやスピンの特性を再確認しましょう。分からないことは納得するまで確認して下さい。
2.各滑空場で現在よりさらに安全な運航、特に地上の人々の安全を脅かさない運航の実現のため、それぞれの滑空場の実情に合ったローカルルールを再確認・再設定しましょう。
3.まだ報告書の出ていない運輸安全委員会の案件がありますが、なかにはスピンではないかと思われる事故があります。特にソアリングを行うパイロットについて、半年ぐらいの期間を掛けてスピン対応能力を明確にしましょう。
*ストール・スピンなど異常状態からのリカバリートレーニングを実施している滑空団体の皆様には、受講された会員のリストをいただきましたら、JSAは受講済認定証を交付し、記録を保管します。
*JSAはトヨタ自動車株式会社のご協賛をいただき、2006年から各地で、座学と2回の飛行から構成されるトレーニングを実施して来て、資料、実施要領、開催ノウハウがあります。実施を希望される滑空団体の皆様に対して支援しますので、要望がございましたらご連絡下さい。トレーニングを実施し、受講者をご連絡いただければ、受講認定証を交付し、記録を保管します。

 グライダーを趣味とするものとして、改めて以下を確認したいと存じます。
 趣味として活動するのであれば、社会に受け入れられる活動でなければなりません。そのためには、少なくとも迷惑を掛けないことです。迷惑を掛ける相手は第3者、航空スポーツ・滑空スポーツ愛好家、自分の滑空クラブ・メンバー、友人、家族などであり、迷惑な行為としては人命の損傷、傷害・損害を与えること、不安・不快の感情を与えること、他人に手間をかけさせることでしょう。
 危険なスポーツがいろいろありますが、多くは周囲から閉鎖された競技場で安全を確保して実施されます。滑空スポーツは一般地上空をフィールドとするので、万一の場合地上の第三者の安全を脅かす可能性があります。これは偶にはあっても良いことでは無く、万一の場合でも防ぐ必要があります。住宅地上空飛行中などリスクの高い状況では、飛行コース取り、十分な飛行高度・速度の維持、滑らせない操縦などより深い配慮が必要です。
 滑空機を操縦するには免許あるいは練習許可証が必要で、後者の場合は教官の許可・指示が必要です。免許の条件は十分な知識と技量を有することです。特定操縦技能審査で合格するのはもちろんですが、飛行計画で派生する状況に確実に対応する知識と技量を持っているかどうか、真摯に考える義務があります。より上位の技能証明を持っている、飛行時間が長いなどを根拠とするのでは無く、実際にそのような状況を経験した、あるいはトレーニングを受けた、などの事実から自分の実力を見なおして下さい。

グライダーパイロットのリスク
 固定翼機は失速する宿命があります。動力機では失速警報装置を付け、そのような速度領域で飛行する、ましてや旋回することは避けます。サーマリングするグライダーパイロットは旋回半径を小さくし、かつ最小沈下状態が失速速度のすぐ近くのため、速度を抜いて旋回することがあります。地上の安全保障を絶対前提にすれば、このような飛行を行うには十分な知識技能が必要条件です。つまり:ソロで飛ぶグライダーパイロットはスピンからのリカバリーを行えること、インストラクター、あるいはセーフティパイロットは同乗者のミスをカバーするため躊躇なくテークオーバーして安全を確保できること、です。

 最後に滑空界一丸となって、この素晴らしいグライダースポーツをより安全に、より楽しめるようにしたいと存じます。

敬具

公益社団法人日本滑空協会 常務理事 事務局長 甲賀 大樹
〒105-0004 東京都港区新橋1-18-1
電話 03-3519-8074 月水金 10:00〜16:00
kohga@japan-soaring.or.jp



1) 滑空機の運航の安全確保について(PDF)