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JSA会長 後藤昇弘

日本滑空協会会長 ご挨拶


 平成28年度定時総会において、佐藤前会長の後を受けて会長職を務めさせていただくことになった後藤昇弘です。公益法人である当協会は、これまでグライダー・スポーツを愛好する人々の便宜と安全を確保することを目的として広く活動してきた実績を有しますが、これからも引き続きグライダー・スポーツの普及と発展を通して、特に若い世代を含む人々の心身の健全な発達に貢献する事を目的に、活動を続けてゆきたいと考えております。

 グライダー・スポーツは、競技者が肉体を鍛えて互いに競い合うという要素は小さく、大気という自然を相手に頭脳的な活動によって、いかに長時間或いは長距離を、更には予め定められた区間をいかに短時間で飛ぶかを競うもので、この為には自然を相手にパイロットの判断力を競う事になります。またグライダーでは、多くのスポーツに見られるような、競技を眺める観客を興奮させてスポーツを共に楽しみ、これによって世間一般から広くご支援・声援を頂くことができる環境を用意することが困難で、加えてグライダーを飛ばすのに適した場所も、日本では必ずしも豊富とは言えません。しかし、一度グライダーに乗って滑空する事を体験した人々の多くは、雄大な眺めの中を空気との摩擦音のみの中で飛び続ける魅力に取りつかれ、グライダー飛行の楽しみから離れがたくなるものです。

 私は、2007年2月〜2016年2月の間、運輸安全委員会委員長(〜2008年9月30日 航空・鉄道事故調査委員会)を務めましたが、この間滑空機事故等が24件発生しました。事故等の原因の調査の結果、飛行と飛行の間の無飛行間隔が長く、咄嗟の適切な操作ができなかったことによるとみられることが多いことが判明しました。2014年4月1日より、「特定操縦技能審査制度」が導入され、技能審査が定期的に実施されるようになりました。技能審査の有効期間は2年です。それまでは、航空運送事業者に対し、運航規程に基づく定期的な技能審査の実施を義務付けている一方、その他の操縦者については、その技量を維持するための枠組みはありませんでした。この制度の有効利用により、今後滑空飛行の一層の安全を期待しているところです。また、この件に関しては、本協会機関紙JSA INFO #309(2016.Jul.)に前会長の寄稿「グライダー事故の多発を憂う」及び現常務理事のリポート「滑空界への提案」が掲載されていますので、再度お読みいただくと同時に、関係各所・各氏に紹介いただきたいと思います。

 当協会の事業計画は、ご承知の通り、航空行政或いは航空団体への働きかけ、各種情報の提供等により、グライダー愛好者・各地滑空団体との連携を強め、また、安全対策の徹底を図る等のために講習会を開催し、これらを通して「安全と楽しさ」の増進を図ることであります。今後は更に、滑空場周辺のローカル飛行に加えて遠方まで目的地を延ばす野外飛行の可能性を検討し、また、中断されている日本滑空選手権競技会の再開やFAI−IGCの国際的活動への参加拡張など、将来の発展を検討してゆきたいと考えています。

 この様に、これまで通りグライダー・スポーツを楽しむ皆さまの為に、必要な情報を収集して伝達に務め、グライダー活動を安全に続けることができるよう、皆さまの手助けを心掛けてゆく所存でありますので、グライダーに興味・魅力を感じてくださる一般の方々を含めて、当協会に対してこれまでにも増してのご支援とご理解を戴けるようお願い申し上げます。

公益社団法人 日本滑空協会会長 後藤昇弘